DIARY(日々の感嘆とため息)

喪失と自由。

現在、20年住んでいる西陣の借家長屋の自宅を改築してもらっている。

妊娠をする度、家にいる時間が長くなり、
自分に正直に暮らしを振り返ると今まで外に出ることでバランスをとっていた部分を見つめなおしたくなるみたいで
今回はとうとう手を付けてなかった自宅の床下にまで手を出すことにした。

そのためにも
今まで愛用していたけど家族の増えた今の暮らしにはちょっと無理のある家具を手放す事を自分で決めた。
いつも忙しかった独身時代に勢いで買ったとはいえ、
大好きな北欧家具の細部に渡るぐっとくる作りは、
日常の中で忘れかけていたけど、確実に、私に日々喜びを与えてくれていたのだ、という事実を
手放すことが決まってから引取に来られる予定日の前夜、
たまらない喪失感と共にやってきた止まらない涙の後にやっと気づいた。

私のささやかな栄光とプライドの証。
今でも暮らしの中で重要な割合を占めている、仕事と、料理を彩る食器棚。
それを両方手放すなんて。
なんて恐ろしいことを思いついたもんだと。。

荒天で延期になればいいなという私の思いをよそに、
翌日の引取に来られる時間だけウソのように雨も上がり。。
結局購入したお店に事情を話して特別に引き取ってもらうことにしたので気心のしれている店主さんが直接来てくれて
笑顔で「いい仕事はタイミングも何もかもツイているもんなんですよ」といって高値で売れると思いますと言ってくださったことにホッとした。

大切にしてくださる方のところへまた旅立って欲しい、、
その思いはこの時に半ば成就したようなもの。

そしてなくなってぽっかり空いた空間は
喪失感以上に、私を捉えていた物欲の解放に昇華した。

プライドや栄光へのこだわりから、もっと自由に。

いいものを身の回りに置いておきたいという気持ちと、プライドや栄光へのこだわりは微妙に違う。

古いものが愛おしいと感じる私の感覚は変わらないけれど
変化した暮らしぶりにも合うスタイルをまたこれから楽しんで見直していきたいという晴れ晴れした気持ちになることができて
よかったなと

失うもののあとには得るものが付いてくるんだなと沸々。
よい経験をしました☆

今まで一緒に過ごしたデスクと食器棚との思い出もなくならない。
いつでも引っ越せるように家具を買わずに暮らした20代から、
よく働くようになって初めて大きな家具を買うきっかけになった北欧アンティークのデスク。
脚に真鍮が使ってあり、引き出しの細工もとても美しい。。
引取を手伝ってくれたお店の店員の男性も、思わずカッコいい、、と漏らした一品。自慢です☆
そして食器棚を買うまで好きなうつわを我慢して過ごした日々から解禁するきっかけになった北欧アンティークの食器棚。
一時はデスクの横で本棚と食器棚を兼用していた使える大物。

いままでありがとう。。


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